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    FINAL FANTASY W 〜幻獣を統べるもの・3〜

    「王妃様と戦った時、王妃様に、リフレクをかけたよね?」
     そう問いかけると、ローザがこくんと頷く。
    「王妃様との戦いでは、相手の力を利用して戦ったよね。……幻獣神様との戦いでもそうすれば勝てるって、王妃様は言いたかったんだと思う」
     その言葉に、ローザは数度瞬いた。
    「それは……バハムートにリフレクをかけるということ?」
     アスラと戦った時のように、といえばそう考えるのが普通だろう。だが、リディアは首を横に振った。
    「ううん。幻獣神・バハムートはその偉大なる力を以って幻獣達を統べるもの。その大いなる力ですべての幻獣を守るもの、だよ。癒しや守りの力じゃないと思う。……だから、あたし達全員にリフレクをかけて、攻撃を跳ね返せれば……」
    「でも、バハムートの攻撃に、リフレクが効くかしら……?」
     ローザの懸念はもっともだ。バハムートの力がリフレクを貫通したり、無効化するほどの力があってもおかしくはない。だが。
    「大丈夫」
     リディアは、自信満々に頷いた。アスラの言葉がヒントにはなっているが、根拠はほとんどなく直感に近い。だが、何故か大丈夫だという確信があった。
     リディアの声に被せるように、バハムートが大きく吠えた。びりびりと大気が震える。
    「……やってみよう。急いだ方がよさそうだ。……あの咆哮、嫌な予感がする……」
     リディアとローザの会話を聞いていたセシルが、バハムートから視線を外さないままそう言った。
     確かに、セシルの言うとおり、あの咆哮が繰り返されるたびにバハムートに力が集まっているような気がして、不安を掻き立てられる。まるで、何かのカウントダウンのようだ。
    「うん!」
     リディアは頷いて、道具袋を開けた。その横で、ローザがリフレクの詠唱を開始する。
    「魔を反射する盾よ! 我を守りたまえ――……リフレク!」
     リフレクが発動し、ローザの前でで一瞬だけ青白い鏡が輝いた。
    「あったっ! 光のカーテン!! みっつあるよ!」
     使用頻度が低いため、道具袋の奥に眠っていた淡く輝く薄い布――光のカーテンを引っ張り出して、リディアが叫んだ。
    「リディア、自分に使って! カイン!! エッジ!!」
     セシルは光のカーテンをふたつ掴むと、エッジとカインに手渡した。
    「あ!? 何だ、これ?」
    「光のカーテン?」
     バハムートと対峙し、リディア達の会話を聞いていなかった二人は、そんな反応を示す。
    「そうだ! 使ってくれ!」
     バハムートの四度目の咆哮が轟く中、セシルは二人に聞こえるように叫んだ。
     咆哮が繰り返されるたびに、大気の震えがひどくなっているのはカインもエッジも肌で感じているのだろう。さしたる疑問を挟むこともなく、光のカーテンをふわりと身にまとう。
     カーテンは一瞬で霧散し、それぞれの前に青白い鏡が出現した。
     リディアもカーテンで身体をくるむ。するとカーテンが一瞬だけ淡い光を放ち、消えた。そして目の前にリフレクが発動する。
     張り詰めた空気の中、ローザの朗々とした詠唱が響く。そして、バハムートが大きく吠え、翼を広げたのと。
    「……彼の者を守りたまえ! リフレク!!」
     ローザのリフレクがセシルにかかったのは、ほぼ同時。
    「……来る!」
     バハムートの口元に強い力が集まっているのを感じ、呟いたのは誰だったのだろうか。
     そして。
     光が、爆ぜた。

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